鉛の価格はロンドンまたはニューヨークで決定されるため、円高にともない国内価格が急激に落ちてしまったからである。そして鉛電池のリサイクルはもはや危険水域に入りつつあるといえる状況になっている。それというのも電池の中に硫酸が大量に含まれているからだ。硫酸さえなければいかに値段が下がったといっても、鉛の一九九三年春における問屋価格は、トン当たり七万円ほどするのだからけっして悪い商売ではない。だが、工場に出荷するためには硫酸を中和しなければならない。そのための経費がかかるから、鉛電池のリサイクルは業者にとってあまり儲かる事業ではなくなりつつあるのだ。じっさい、産業廃棄物の最終処分業者にいわせると、ケースに入ったままで埋め立てに持ち込まれるものが少なくないという。鉛電池はふつう五〇〇回ほど充電をくり返すと寿命が尽きる。クルマに搭載されている鉛電池の場合は二年に一度の車検ごとに交換すればまず問題はない。ここで交換された鉛電池は一般的に電池ディーラーもしくは金属回収業者、金属問屋に持ち込まれる。業者はケースを破砕して液を抜き、中の鉛だけを精錬業者に販売する。クルマを廃車した場合は自動車解体業者によって外され、金属回収業者、または金属問屋に売却される。